「F35」国内組み立て継続へ 完成品輸入を転換
政府、コスト抑制狙う
019/12/10 17:31日本経済新聞 電子版

政府は最新鋭ステルス戦闘機「F35」の取得をめぐり、2019年度以降も国内での最終組み立てを
続ける方針を固めた。米国から完成品を輸入する方針を転換する。当初、完成品輸入の方が費
用が抑えられるとみていたが、国内での工程を見直して単価が下がり、継続しても問題がないと
判断した。近く調達方法の変更を閣議了解する。

F35は米ロッキード・マーチン社が製造する戦闘機で、日本はA型と短距離離陸、垂直着陸できる
B型を調達する。政府は18年末にA型105機、B型42機の計147機体制とする計画を閣議了解した
際、完成品輸入への切り替えを決めた。今回の方針転換を受け、政府は配備が完了するまで国
内組み立てを継続する見通しだ。

政府は11年度にF35Aの導入を決定した後、米国から対外有償軍事援助(FMS)で部品を調達し、
三菱重工業が最終組み立てと検査を担ってきた。費用が完成品に比べ高いため、19年度契約分
から完成品を輸入する方針に切り替えた。これを受け、国内での組み立て工程や工具の見直しが
進み、費用を抑えた。防衛省の試算では、完成品輸入は1機当たり94.2億円かかるのに対し、国内
組み立ては93.7億円になった。

F35は空自の主力戦闘機に位置付けられる。F35の調達は対日貿易赤字に不満を示すトランプ米
大統領に向けたアピールにもなる。5月の来日時には安倍晋三首相がF35Bを搭載予定の護衛艦
「かが」を案内し、F35の大量購入の意思を直接伝えた。完成品輸入に切り替えなくても米国は多額
の調達費を確保できるため、日米両政府間で方針転換への折り合いはついているという。