「中国の輸出入の減少」と聞けば、多くの人がまるで条件反射のように「米中貿易戦争の影響」と考えるだろう。
確かに米中貿易戦争の影響は対米貿易には如実に現れている。
例えば、12月の対米輸出金額は前年比で3.5%の減少、一方、対米輸入金額は前年比で35.8%の大幅減となった。
米中貿易戦争の象徴である中国を対象とした制裁関税措置は昨年1月に始まり、9月までほぼ毎月のように対象品目が付け加えられてきた。
中国側もその対抗措置として米国からの輸入品目に対して制裁関税を課した。
だが、昨年10月までは中国の輸出入金額にはほとんど影響を与えず、輸出入とも前年比で2桁台の伸びを実現させてきた。
この間、影響を受けたのは、大豆(主に飼料用)等の農作物を中心とした対米輸入金額だけであり、中国から米国への輸出金額も10月まではほぼ前年比2桁台のペースで拡大していた(例えば昨年10月時点では前年比13.2%の増加)。
昨年10月までの中国の好調な輸出は、今年1月から発動される予定だった新たな制裁関税の前の「駆け込み輸出」だといわれた。
だが、「駆け込み」であれば、1月からの制裁関税発動直前で加速度的に拡大するはずの11、12月の輸出が激減し、しかも、昨年12月1日にトランプ政権による1月からの制裁関税発動は見送りになったにもかかわらず、昨年12月の輸出は激減したのであった。
このことから昨年10月までの輸出増は「駆け込み輸出」ではなかったと思われる。