それこそ歴史にもしもがあって、小さな水雷巡洋艦として志向された特型駆逐艦ではなくて
アメリカとの長期戦を予測し海上交通保護を優先した丁型駆逐艦もどきが特型駆逐艦よりも先に実現していれば、
ロンドン海軍軍縮で駆逐艦の保有量の制限を阻止できていたのだろうか
それはないだろう
日本海軍は日露戦争で艦隊決戦による戦争の勝利という悦びにとらわれてしまっていたから、
実際にアメリカとの長期戦を経験しないと丁型駆逐艦や丁/丙型海防艦といった代物が誕生することはない

アメリカ海軍の潜水艦による通商航路破壊の可能性を開戦前に知っていても対潜戦闘に優れた駆逐艦や海防艦を大量設計する動きにはならないだろう
なぜなら当時の日本海軍首脳部の考え方からすれば、
低速な潜水艦が日本の近海まででてくる前にアメリカ海軍の主力艦隊を撃破すれば、アメリカと有利な和平交渉を結べる
対米戦争は短期の決戦で終えると信じきっていた
航洋護衛艦はもとより、補給艦の大量建造や揚陸輸送艦艇の整備なんてまるで頭にない

それこそロンドン海軍軍縮条約で駆逐艦の制限がなければ、日本の駆逐艦は量産性を無視して夕張型軽巡洋艦並みの巨体を誇っていたかもしれない