>伊政府は2月から欧州連合(EU)に医療物資支援を求めてきたが「EUのどの国も応じなかった」(マッサーリEU大使)。逆にドイツは4日、マスクなどの輸出禁止を表明。フランスも3日にマスクの国家管理を打ち出すなど囲い込みの動きが出た。
>欧州委員会は「一方的な行動は良くない」(フォンデアライエン委員長)と独政府に禁輸を撤回させ、19日にはマスクや呼吸器などの共同備蓄制度も発表したが、対応は後手に回っている。
>◇東方拡大に影
>イタリアに到着した中国の医療支援団=18日、北部ミラノ(EPA時事)
>イタリアに到着した中国の医療支援団=18日、北部ミラノ(EPA時事)

>イタリアを最初に助けたのは中国だ。12日には約30トンの医療物資と医療チームが到着。ディマイオ伊外相は「これが連帯というものだ」と中国を称賛した。
>中国は、先進7カ国(G7)で初めてシルクロード経済圏構想「一帯一路」推進の覚書を締結したイタリアとの一段の関係深化をうかがう。さらに感染拡大に苦しむ他の欧州各国にも次々と支援を展開。「マスク外交」を強めている。
>対照的にEUには批判が強い。医療物資を確保するため15日に導入した域外への輸出制限は、周辺の加盟交渉国も切り捨てている。
>EUと加盟交渉中のセルビアのブチッチ大統領は「欧州の連帯など存在しない。おとぎ話だった」とEUの利己的な姿勢を非難。
>「われわれを助けられるのは中国だけだ」とも言い切った。欧州の足並みの乱れは、中国やロシアに対抗するEUの東方拡大戦略にも影を落とし始めた。

もはやシャレにならんレベルで欧州の相互不信が加速している。