「ニイチャン」「ニイチャン」「そんな事をしても動きませんよ」

いつの間にか、天敵であるアンドロイドに近寄られていた。
恐ろしい敵。華奢な見た目の手足だが、彼らが振るう武器は我々を容易く粉砕し、両断する。

「ニイチャン…」「ニイチャン…」

緊張で駆動部が震え、緩んだネジが抜け落ちてしまいそうなほどの恐怖。
それでも、逃げ出す事もできない兄だけは守らなくては。

「ニイチャン」「ニイチャン!」

アンドロイドの彼は、自らのストレージから一本の何かを取り出す。
白い包みで覆われた、沢山の花。

「ニイチャン…」「ニイチャン…」

アンドロイドは兄の隣に花を横たえると、振り返りもせずに去っていく。
良くは分からないが、自分達は見逃されたらしい。

「ニイチャン」「ニイチャン」

アンドロイドと出会って破壊されないなんて、きっと自分達はツいている。
きっと、兄もすぐにゲンキになるに違いない。

「ニイチャン!」「ニイチャン!」

さあ、新しい材料を探しに行こう。
機能回復したら、ピカピカになったボディにきっと喜んでくれるだろう。