>658
>グランツ作戦術本の流れでも「規模と空間」です。

それは当時のグランツの誤解。あの本。1991年やで。
その後の米軍の対ソ連教範では別の見解が出されています。

実は、さらに80年代前半にソ連から入手されたソ連文献
「ソ連軍の作戦術及び戦術の基本原則」(書かれたのは70年代)には

作戦術は戦略と戦術の間にあって、兵術の中間部分をなすものであり
各軍種及びその作戦的統合部隊の軍事行動の準備と実施の方法を決定する。

また、正面軍と軍の作戦を組織し実施する理論と実践。
各正面軍の作戦の全般的調整は戦略であり、最高統帥部が指揮する。
軍団や師団は、単なる戦術単位と考えれている。

とありますが、これは指揮階層を表すものであり、実は規模や空間を規定していません。
例えば、小隊規模であっても、正面軍が計画するならば、それは作戦次元における軍事行動になります。
(特殊部隊を想像すると判りやすい)

このあたりの誤解は2000年代前半でも米軍内の議論に見られます(作戦術不要論)
これはFM100-1(1984版)にも見られ、縦深作戦などの具体的な戦法の解説は詳細なれど
作戦術については今となっては驚くほど記載がありません。

ここにグランツが、作戦術という視点から例の本を書いたわけで、鏑矢として非常に高い意義があります。
しかし、あくまでも鏑矢なのです。
(元の研究は「Operational Art and Tactics」AD-A216 492としてファイル公開されてます)

なお、米軍でも最近の「The Russian Way of War」などでは正しい理解が進んでいる模様。