海兵隊は戦術の考え方や組み立てといった判断ロジックを教えようとしています。
これに対して陸軍は具体的なタイプ別に解説しています。

海兵隊は形式を定めずに指揮サイクルを廻す事を重視する。これって戦場実相としては浮動状況の創出だと思うのです。
浮動状況には類型化がない訳です。類型が無いから浮動状況なのですから、その中で各自が判断行動する必要が発生するので、分権指揮、Mission Commandが必要になる訳です。

そして、陸軍は形式を重視、つまり計画重視と言えると思います。さらに戦闘の各段階における行動パターンも網羅。
これらを動かすには、複数の行動、任務を同調し管理する必要があります。すなわち作戦術が必要。

海兵は任務指揮を必須とし、陸軍は作戦術を必須とする。
では、その逆はどうなのでしょうか?

海兵は浮動状況に持ち込み、そこで勝利する為に任務指揮が必要。
では海兵における作戦術の必要性とは?

浮動状況という事は作戦の方向性がぶれやすい事だと思います。
摩擦と不確実性の為に作戦計画は破綻するものであり、それを克服するにはどうすれば良いのか?
ここにOODA+任務指揮で即応対応、速度重視で行った場合の危険性が示されています。
つまりOODAのその場判断を現場で廻すうちに方向性、作戦目的を見失わないように、作戦術で統制する必要が出てくるわけです。

次に陸軍ですが…
作戦計画で敵を罠にはめて勝利する為に作戦術が必要。
では陸軍における任務指揮の必要とは?

こちらでもOODAで敵に先んじて主導権を得る重要性は変わりません。
しかし、OODA+任務指揮だと逸脱の可能性は前述されています。ですが、見方を変えてみましょう。
摩擦や不確実性により、現実が計画から逸脱を始めた場合、任務指揮で計画元に戻していくという考え方もできるのではないでしょうか?
つまり、陸軍にとっての任務指揮とは、浮動状況に陥らないように、作戦計画を維持する為に必要なのではないでしょうか?