>>524
すべてを受け止め、罪を洗い流す故に、どこよりも穢れが集まる場所でもあるわけじゃよ

シヴァ神の絵を見てもらうと、結い上げた髪の頂点に小さな女性の顔が見え、絵にもよるが口から
ぴゅーっと水を吹き出しておる
この女性が女神ガンガー、すなわちガンジス川そのものを神格化した神じゃよ

なぜシヴァ神の頭頂にいるかと言うと、『ラーマーヤナ』の主人公、ラーマ王子の祖先にあたる
バギラタ王の時代に遡る
ガンジス川はその頃天界にあり、バギラタ王は地下世界における戦で戦死した六万人の祖先を
供養するために、その清き水を欲した
徳高きバギラタ王はそのために千年の苦行を積み、それに応えて女神ガンガーはガンジス川を
地上に下ろすことに同意した

しかしガンジスの流れはあまりに激しく雄渾であり、そのまま下ろしたのでは大地が受け止める
ことが出来ず、大災害を引き起こしてしまう
それを防ぐにはシヴァ神の助けが必要であると知ったバギラタ王は、カイラス山の山頂で熱心に
祈りを捧げた
その祈りに応えたシヴァ神は、ガンジス川の流れをいったんその髪と頭で受け止め、衝撃を
和らげてから地上に下ろすことにしたのである

女神ガンガーは、ガンジス川の水とそこに棲むあらゆる生き物と共に、シヴァ神の額から地上に
流れ落ち、その水によってバギラタ王は祖先を供養し、天界に戻すことが出来たという
このことから、ガンジス川は聖なる川として、あらゆる罪や穢れを洗い清めるという役割を持って
今も崇められているのである
シヴァ神の頭頂で水を吹き出す女神ガンガーは、この神話によって描かれておる