>>116
固定相場制の国において、外貨準備は、自国通貨の固定レートを維持するために
使用されます。ほっとくと自由な価格で売買されてしまうので、国が固定レートでの
売買に無限に応じる事を約束する事で成り立っています。これを政府窓口で行わずに、
市中売買で介入すると、呼び名がちょっと変わって管理フロート制という事になりますが、
基本は一緒です。

こういう国では、自国通貨に下げ圧力がかかると、外貨準備がどんどん流出していき、
為替レートをあくまで維持しようとすると、決済するための外貨が枯渇するという事に
なります。

変動相場制の国では、よっぽど過度な変動の時の冷や水目的以外では為替介入を
しません。為替の変動に任せます。自国通貨が下がると、自動的に海外品の価格が
上昇しますので、輸入が減少します。また、資金移動を自由化していますので、海外
からの資金調達も、逆に貸し付ける方も自由に行えます。景気対策には金融緩和で
対処できます(流動性の罠でなければ)。

弱小国だと、経済規模が小さく、為替取引額も小さいため、ちょっとした事で為替に
かかる変動圧力も大きく、自由に変動させると影響が大きいため、固定相場制を選択
しますが、経済規模が大きい国では、弊害の方が大きくなります。資本移動についても
同様で、弱小国では資本移動規制をしないと、国内の成金が集めた資金がどんどん
海外流出してしまうので、資本移動規制をかけます。が、経済規模が大きい国では、
そんな心配はしなくて大丈夫です。

金融政策には、3つの事を同時に達成できない制約があります。国際金融のトリレンマ
と呼ばれるもので、為替の安定、景気の安定、資本移動の自由化の3つです。弱小国
では、為替の安定をとり、景気の安定と資本移動の自由のどちらか、あるいは両方を
諦めます(国際収支の天井での金融引き締めと、資本移動規制)。経済強国は、為替
の安定を捨てて、金融政策の自由度を得ます。もちろん資本移動も自由化します。