昔の記事だけど


安全保障技術研究推進制度の予算は増え続けています。

大西:そこをどう捉えるかは難しいところだ。例えば文部科学省などの、幅広い分野を対象とした研究資金である競争的資金は、少なめに数えても4000億円強。多めに数えると7000億円ぐらいある。基盤的経費まで入れて考えると2兆円以上にのぼる。
 一方、防衛装備庁の予算は現在110億円。このうち90億円程度は5年間で使うことになっている。比較すると、そこまで大きな額ではない。


学術会議での一連の議論では、「デュアルユース」という言葉がキーワードになりました。

大西:デュアルユースには2種類の方向性がある。本来は、民生的な目的で使う研究の成果が軍事的な目的に使われること。もう1つが、防衛装備庁のような軍事的な組織が研究費を出して研究をして、その成果が民生的な目的にも使えるというもの。
 防衛装備庁による安全保障技術研究推進制度は、軍事目的から始まった研究が民生的な目的にも使えますよという制度になる。この軍事的組織から民生部門への転用をもっと議論したかった。実際の検討委員会では、もうちょっとストレートな議論になっていった。


ストレートな議論とは?

大西:防衛装備庁からの研究費で研究することが、良いか悪いかということ。先ほど説明したデュアルユースの全体像からすれば、議論に広がりが欠けていたといえる。


https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/031500046/040600006/