初任給「50万」の壁

もう少し分かりやすい例をあげてみよう。
日本における大卒初任給は約20万円だが、米国では50万円を超えることも珍しくない。

筆者は以前、香港のホテルで一杯飲もうとビールを注文したところ1500円以上取られてビックリしたことがあったが、
海外では価格が高めの店に行くとビール一杯1500円から2000円というのはごく普通である。

国内にいるとピンと来ないかもしれないが、海外にしょっちゅう行く人の間では、
日本の豊かさは先進諸外国の3分の2から半分程度というのがリアルな感覚といってよいだろう。

仮に賃金が安くても、国内の物価が安ければ生活しやすいという見方もできるが現実はそうはいかない。
私たちが日常的に購入するモノのほとんどは輸入で成り立っており、海外の経済状況から影響を受けてしまう。
海外の方が豊かであれば、輸入品の価格が上昇するので、日本人が買えるモノの量が減ってしまうのだ。
自動車はまさにその典型である。

日本人にとってクルマはもはや高嶺の花

自動車はグローバル商品なので世界中どこで買っても価格は同じである。
トヨタ自動車の1台あたり平均販売価格は世界経済に歩調を合わせ約20年で1.5倍になった。
だが日本人の賃金は横ばいなので、日本人にとってクルマはもはや高嶺の花だ。

多くの若者が愛用するiPhoneは機種によっては1台10万円くらいするが、
初任給が20万円の日本人と50万円の米国人では負担感の違いは大きいだろう。

https://bunshun.jp/articles/-/42697