京都大学は、一般相対性理論が提唱された当初からの懸案だった“一般の曲がった時空”
において、正しいエネルギーの定義を提唱したこと、ならびに、その定義を自然に拡張する
ことで、宇宙全体からなる系で、エネルギーとは異なる別の新しい保存量が存在することを
理論的に示したことを発表した。

一般相対性理論は、その提唱当時から、その定義に困難な部分もあったという。その理由は、
重力と物質との関係を規定するアインシュタイン方程式において、物質のエネルギーと運動量
を表すテンソルが通常の保存則を満たさないからだ。
アインシュタインは重力場に付随するテンソルに似た「擬テンソル」と呼ばれる量を考案。
これを物質のエネルギー運動量テンソルに付け加えることで、保存量を構成できると指摘した。
しかし、この擬テンソルは、理論の大事な柱である一般座標変換不変性を満たさず不完全で
あった。

今回、「対称性の存在しないような複雑に曲がった時空でも一般座標不変性と矛盾しない形で
保存量が存在するのか」というネーターの定理を拡張する問題に挑むことにしたという。

その結果を我々が存在する宇宙のような系に当てはめると、その保存量をエントロピーと解釈
することで、熱力学第1法則を満たしていることが確かめられたとするほか、よく知られた
ブラックホールに対してこの保存量を計算すると、ごく自然な仮定の下に、「ベッケンシュタイン・
ホーキングの公式」から計算されるブラックホールエントロピーと一致することも判明した。
これらの成果から、青木教授らはこの保存量が一般の閉じた物理系におけるエントロピーでは
ないかと予想しているという。

京大の青木教授と横山特任助教、阪大の大野木教授の3人は、素粒子論が専門であり、
青木教授は「我々のような非専門家が『一般相対性理論におけるエネルギーの定義』という
(隠れた)大問題を研究するに至ったのは偶然であり、今思い返しても不思議です。この研究の
重要性は確信しています。偶然とはいえ、このような研究に立ち会えたことは研究者冥利に
尽きるといっても過言ではありません」とコメントしている。
https://news.mynavi.jp/article/20211108-2180875/

なんか分からんがすごそう