この米軍資料「JAPANESE SEACOAST ARTILLERY」(以前要塞関係のサイトで入手)もなかなか興味深いです。
 火砲自体に対する調査も当然ですが、八八式、九八式海岸射撃具については高く評価して繰り返し詳細に言及しています。
総論的な部分の一つを意訳すると以下の感じです。

 八八式海岸射撃具は砲塔砲台用で電気式計算器使用のの複雑な装備。

 九八式海岸射撃具は全ての兵器に使用できるが重要な15cm砲台に装備されたかなり近代的な装備。
これにはAとBがありAは機械式計算機装備、Bは機械式計算機を装備せず計算尺などで計算するもの。(簡易タイプ?)

  その他のマイナーな砲台は各種の機器の組み合わせで「古代の装備」である。 
 大型の榴弾砲は時代遅れの射撃管制装備を持っていた。 
※1.日本側資料だと30榴を八八式で管制した例もあるので全ての榴弾砲がそうではないと思われます。

 砲台の偽装についても言及があり、砲塔砲台は地形による遮蔽の他に迷彩塗装が施されていた。
一部の砲塔砲台(20cm砲と25cm砲)は砲塔上に12inの土を被せ地域の植生を植えて偽装していた。とあります。

 対空防御では、対空機関銃を1砲台あたり2挺装備が標準。
※2.日本側資料では、各砲台に臨時高射砲2門又は海軍の10cm高角砲の支援を受けた例があります。



 米軍も八八式と九八式は正当に評価していますし海軍と比較して特に劣る要素も無いようです。
 しかし対空砲は水上部隊の観測機程度なら迎撃できますが、機動部隊の大編隊に襲われたら、
見つからない、当たらない、効かない、
という消極的な防御を期待するしかないですね。