日本の電気算定具

> わが国の電気算定具の発明者は,陸軍砲兵大尉多国礼吉(後の陸軍技術本部長,陸軍中将)であり、昭和3年以降
> 88式海岸射撃具として各砲台に配置された。
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> 88式海岸射撃具は,ホエートストーンブリッジの理論を応用して,火砲に与える敵艦の距離・方向・航路・未来位置に
> 関する諸元を迅速に電気的に決定し,
> これを電気的に砲側照準具へ誘導できる画期的なものであった。
 「日本築城史」 

より詳しい説明としては

> 砲塔加農が軍艦に搭載されていたときは・・・セルシンモーター式の強電流によって司令塔から来た諸元を砲塔に取らせることができた。
> 照準手は計器の指針を赤表示に合わせる動作によって、自然に正しい諸元を取ることができたのであるが、
> 陸軍の要塞では強電力の発電施設を設けることはできなかった。
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> そこで考案されたのが乾電池数十個を電源とする八八式海岸射撃具で、微弱電流を用い、
> 遠隔した数箇所の観測所による水平基線によって、目標方向および射程を決定し、
> 観測所の測遠機で目標を照準すると、砲塔が追従して回転し、射角をとる方式であった。
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> この射撃具はホイット・ストン電橋の原理を応用したもので、多田礼吉中佐(後に中将)が考案した。

「日本陸軍の火砲、要塞砲」 佐山二郎著 光人社NF文庫

ホイートストンブリッジ回路(Wheatstone bridge)を「電気計算機」というのは少々拡大解釈のように思う。しかし伝声管や電話などで諸元を砲側に伝えていた頃からは格段の進歩