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中国のプレゼンスが際立つエチオピアの大規模インフラ事業
ttp://www.idi.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/202001_876.pdf
エチオピアは、(略)エリトリアとの和平を土台として、中国をはじめとする援助国、世銀など国際機関の支援を
受けて、道路や鉄道、工業団地の建設などを進め、2025 年までの中進国入りを目指している。

ここでは、現在、エチオピアが最も力を入れている水力発電ダム、鉄道、道路、LRT のプロジェクトを概観してみたい。


1.グランド・エチオピアン・ルネッサンスダム(Grand Ethiopian Renaissance Dam:GERD)

ルネッサンスダムの発電能力は 600 万 kw で、中国の三峡ダム(2,250 万 kw)に比べると小規模であるが、
日本の黒四ダム(33.5 万kw)に比べるとはるかに大きい。


ダムサイトとしての適地の存在は 1970 年代に米国干拓局の調査で確認されていたが、その後は進んでいなかった。
2009 年になって、政府は「プロジェクト X」として隠密裏に調査・設計を進め、2011 年 3 月にダムの建設を公表した。
発注者となるエチオピア電力庁は、総額48 億ドルとなる設計・調達・建設契約をエチオピアと因縁の深いイタリアの
大手ゼネコンのサリーニ・インプレジーロ、発電設備を軍が主導する軍産複合体 METEC
(Ethiopian Metals and Engineering Corporation) 、コンサルタント業務をフランスのCoyne et Bellierとイタリアの
ELC ElectroconsultのJVに無競争で発注、4 月には当時のメレス・ゼナウィ首相臨席のもと、定礎式まで行われている。


着工時に設定された工期は6 年半で、2017 年末までの発電が予定されたが、2019 年 4 月時点での進捗は
まだ全体の 66%に過ぎない(土木工事の進捗率 80%に対し、発電施設は 25%)。その大きな原因は、
METEC が担当する発送電工事の遅れによる。2018 年 8 月、アビィ首相は METEC との契約を破棄し、
他企業との契約を指示した。2019 年 3 月、中国水力発電ダムのトップ企業「中国葛洲?集団」と 40 百万ドル、
ドイツの機械製作会社 Voith の中国法人 Voith Hydro Shanghai と 113 百万ドルの契約を結んでいる。