>戦後の焼け野原のような状況
>「日本半導体産業の復権」の定義もなく、その目標をセリートの代表取締役社長ですら理解していなかったセリート、ならびに、あすかプロジェクトが2011年3月に終了した。
>その時点で、20%程度だった世界シェアは、昨今は10%以下になっている。そして、セリートやあすかプロジェクトの終焉(しゅうえん)と時を同じくして日本は、65nmから40/45nmに進めず、世界半導体の最先端の微細化の争いから脱落した。
>その時から10年が経過したことし2021年、突然、政府や経産省や自民党の議連が、「国内で半導体の製造を強化」などと大合唱している。
>しかし、衆議院の意見陳述でも強調して何度も言ったが、「もはや日本は挽回不能」である。特に、ロジック半導体の分野は、「戦後の焼け野原」のような状況なのだ。
>1980年中旬から2010年頃までは、政府や経産省が何かをしようとしていた(それが全部失敗したわけであるが)。しかし、2011年以降は放置され、空白の10年間を過ごした。
>それを、いきなり、「国内で半導体製造を強化」などと言っても、不可能なのだ。
>第一、日本には、設計技術者も、プロセス技術者も、いないのである。この空白の10年間で、優秀な半導体技術者は、海外企業や装置および材料メーカーに転職している。または、リストラされて、全く異なる業種に転籍している者も多数いるだろう。
>もし、本気で、日本で半導体製造を復活・再生させたいのなら、この目を覆いたくなるような惨状を、まずはしっかり直視する必要がある。それができない政治家や官僚は、半導体の政策に関わらないで頂きたい。

今や永田町界隈は「半導体」の大合唱であるが、筆者はそれを「偽物のブーム」と冷めた目で見ている。もはや“戦後の焼け野原状態”である日本の半導体産業を本気で再生するには、筆者は学校教育の改革から必要だと考えている。[湯之上隆(微細加工研究所),EE Times Japan]
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/spv/2106/22/news042_6.html