マケドニアは、アレキサンダー大王の世代まではギリシアと同じく恐ろしく決戦的なのですが、ペルシャを征服したことで、後継四王国では「富」が溢れかえってしまう。
極度のインフレです。

それで、武装はどんどんと大型化し、恐ろしげな武器で溢れかる軍隊になりますが、戦略文化としては逆に「決戦」しなくなる。
あまりに軍隊が「高額」で喪失を怖れて「示威」が主体になる。

そして、紀元前二世紀頃、カルタゴを破って「決戦」文化が充満したローマ共和国にあっさり叩き潰されてしまいます。
ローマはビルム(投げ槍)を放った後は長盾と両刃の短剣(グラディエーター)で襲いかかってきます。決戦です。

ちょっと、今のアメリカにも「マケドニア的な傾向」(高額武器の損傷を恐れて決戦できない)がありますな。
支那のA2/AD事態は、実は実効性は怪しいんです。
ところが、「高額ユニットを危険にさらしたくない!」というアメリカの心理がそれを戦略的に有効にしている。

WW2でミッドウェイに珊瑚海で損傷した空母「ヨークタウン」を突っ込んできた頃のアメリカなら何の問題にもならんかった。