開く票差、押し黙る支援者 連載・「小沢王国」の陰り
河北新報 2021年11月02日 12:00

10月31日投開票の衆院選岩手3区で、連続17回当選を誇る立憲民主党の小沢一郎が初めて選挙区で敗れた。比例代表東北ブロックで復活当選したものの、
岩手に築かれた「小沢王国」の陰りは否めない。自民党の藤原崇が挙げた金星は、岩手県政界にも大きな影響を与えそうだ。(敬称略)

31日午後10時51分。藤原の当選確実が伝わると、奥州市水沢のホテルに集まった小沢の支援者が押し黙った。
「信じられない」。後援会連合会長の千葉龍二郎(78)は顔色を失った。最終的な票差は9000以上に開いた。

厳しい選挙になることは小沢も分かっていた。過去3度対決して全て比例復活した藤原は38歳。若さを売りに運動量を増やしていた。
「伸びしろがある」と警戒し、公示日の19日には異例の地元での第一声を行い、支持固めに動いた。
北上市での第一声で「バイデン米大統領と私は全く同い年だ」と健在ぶりをアピールした。
最終盤3日間も地元入りし、107カ所を巡る「どぶ板選挙」を展開した。

小沢は79歳。水沢での最終の街頭演説では時折、声を詰まらせた。「政権交代より世代交代」と唱える藤原陣営の勢いを止められなかった。

・高齢化する後援会
「うちの選挙は後援会組織が頼み」と選対幹事長の県議佐々木順一は言う。 初当選から50年以上。
選挙区に100超の組織を張り巡らせても、メンバーの高齢化で動きは鈍かった。

小沢派運動員が公示前の掲示板に選挙ポスターを張り、警告を受ける事案も発生した。 「前代未聞。人手が足りないのだろう」と捜査関係者はあきれた。

長年支えた選挙参謀が昨年死去した影響も指摘された。 
ある県議は「有形無形の影響力があり、独自のネットワークを持つ人だった。 小沢さんはそこを補うため、地元入りしているのではないか」と語った。(続く)