銃・病原菌・鉄
1万3000年にわたる人類史の謎
ジャレド・ダイアモンド

1532年11月16日が旧世界と新世界が出会った劇的な瞬間だった。
スペインの将軍ピサロがペルーの皇帝アタワルパをカハマルカで捕らえ、
ここに神聖ローマ帝国カール5世であってスペイン王カルロス一世の帝国が、
アメリカ大陸最大の王国インカを壊滅させていく端緒が開かれた。「カハマルカの惨劇」と呼ばれる。
ピサロがアタワルパ率いるインディオたちを次から次へと殺戮していったのは、
獰猛だったからなのか。それもある。キリスト教社会を広げたかったからなのか。
金銀財宝がほしかったからなのか。それもある。
しかし、それだけでは南米の文明がかくもあっけなく壊滅していった理由がわからない。
そこには3つの「文明の利器」が関与した。ひとつは鉄製の武器、ひとつは銃、
そしてもうひとつは病原菌(天然痘)だった。


スペイン人「ペルーの次はジパングだ!フィリピン経由で攻め込むぞ!」