日本の生産性が上がらなくなったのは、日本が新しい技術体系
(とりわけ、インターネットを中心とする情報技術)に対応できなかったためだ。

ところが、円安になれば、企業の利益が回復し、株価が上昇するので、
あえて技術革新をする必要性は感じられなかった。

技術開発には投資が必要だし、労働者の配置転換も必要だ。
そんな努力をしなくても、円安で誤魔化せるのなら、そのほうがずっと楽だ。

円安とは痛み止めの麻薬のようなものなのである。
本当に必要だったのは、技術開発による生産性の向上だった。

しかし実際に行なわれたのは、
国際的に見た日本人の賃金を下げることによって、利益を増大させることだった。

それが続いて、ついに「50年前に逆戻り」というところまできてしまった。
これは、経済成長率が鈍化したことと、円安になったことによってもたらされたものだ。