結局ロシア軍の混乱は作戦術における上層階層、すなわち戦略次元と作戦次元の重複領域において発生しているが、
そもそも政治と軍事の一体化が激しいソ連-ロシアの軍事機構から見れば、政治のぶれがそのまま戦略に影響を与えていると思われる。

その状態で、米国の意図的情報リークと同盟圧迫というMDO的恣意的抑止の影響で政治判断が左右された結果、
軍事行動にも致命的な遅延が発生ずる原因になったのではないか?
交渉の度に作戦行動が停止するので、進むに進めない状況。

(逆に、作戦術の下層階層、すなわち作戦次元と戦術次元の重複領域では、個々の戦闘でへまをしても
 確実に戦況は進展している為、有効に機能しているように感じられます)
(※ロシア軍は徴兵軍なので戦術以下での質的劣勢はそもそも織り込み済みと米軍のBTG分析論文でも書かれていました)


米軍はMDB対応部隊の建設が途中であるため積極的な部隊投入は不可能である(むろん核問題もある)。
しかしながら外交と支援のみでロシアの計画を狂わすことに成功している。
つまりMDBが無くてもMDOというドクトリンと概念は有効である。

しかしこれらは時間稼ぎに過ぎず、そもそもMDOの目指した侵攻自体の抑止には失敗している。
これを開戦以前の状態で抑止するには、結局のところ実効的なMDB対応部隊が必要なのであろう。