ソバの実の生産トップはロシア、立ち食いそばチェーン悲鳴「値上げすれば客減る」

「味を保つにはソバ粉の量を減らせない。値上げすれば客が減ってしまう」――。立ち食いそばチェーンの広報担当者は、厳しい台所事情を打ち明けた。製粉大手各社が輸入ソバ粉の卸売価格を6月から1〜2割程度値上げする方針を示したためだ。ソバの実の世界生産トップはロシアだが、ウクライナ侵攻で供給不安が強まっており、さらなる価格上昇が懸念される。
 国連食糧農業機関(FAO)によると、ロシアの2020年生産量は約89万トンと世界全体の半分を占めた。気候の厳しいやせた土地でも育つため、ロシアでは「カーシャ」と呼ばれるおかゆなどで食されてきた。
 日本のソバは7割を輸入に頼り、ロシアからの殻付き「玄ソバ」の21年輸入量は国別で2位だった。「まん延防止等重点措置」が解除され、そば店ではコロナ禍で減った客を取り戻す好機だったが、価格上昇が続けば暗転しかねない。
 小麦もウクライナからの供給不安が高まり、国際相場が高止まりしている。製粉大手関係者は「近く小麦粉を値上げするかもしれない」と話す。既に小麦粉を使うパンや即席麺など幅広い商品の値上げが相次いでおり、さらに波及する可能性がある。