ロシア兵「ナチスはどこだ」、歩く住民に狩猟するように機関銃…ブチャ住民証言

3月5日、露軍の戦車が街に入り、マンションに向けて4回砲撃した。露軍兵が下層階の部屋にドアを蹴破って侵入し、住民を追い出して地下シェルターに連行した。男性を見つけると殴り、床にひれ伏させた。
 露軍兵はマンションの下層階と近くの幼稚園に陣取り、住民が逃げないよう、監視と威嚇を続けた。遺体を見せつけられた後、目隠しをされ、銃を頭に突きつけられた女性もいた。
地雷あちこち
 戦闘は街から離れた林で行われていたが、街の中でも戦車が猛スピードで駆け抜けていき、歩いている住民に向かって、狩猟をするように機関銃を放った。
 3月9日、住民の叫び声が聞こえた。「ナターシャと夫が撃たれた」。駆けつけると、住民の男女2人が血を流してうずくまっていた。逃げようとしたところを狙い撃たれたようだった。通りには、ほかにも複数の遺体が横たわっていた。
 4月1日、占領から解放された後、マンションの中でも住民の遺体が次々と発見された。武器を隠し持っていた住民は殺されたと、後で聞いた。街のあちこちに地雷が埋められ、現在も多くの場所で立ち入りが制限されたままだ。

 露軍兵は住民に、「我々はお前らをナチスから救いに来た」と呼びかけた。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領についても、「北大西洋条約機構(NATO)に入りたいピエロだ。矯正しなければならない。ナチスはどこだ」と大まじめな顔で叫んでいた。
 露軍兵の中には、あどけない学生のような顔をした者もおり、起きている状況を理解するのに苦しんでいる様子だったが、古参の露軍兵は戦闘的だった。

 ある夜、露軍兵同士が酔っ払って口論しているのを聞いた。「ウクライナはナチスだらけだ」と主張する兵士に、「プーチン(露大統領)は嫌いだ。戦場に行きたくない」と反論する声が聞こえた。
 「自分は幸運だった」。ババンスキーさんは、妻が避難した西部の村に母と共に移った。行方がわからない住民の安否を確認するため、まもなくブチャに戻り、街の復興に貢献するつもりだ。

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