ウクライナ軍の元参謀本部所属
>ウクライナ軍はロシアの侵攻に準備はできていたのか?

 準備は出来ていた。この8年でウクライナ軍は防御、攻撃両面でNATO流の最先端の方法論を学んだ。特に、この3年、毎年の訓練回数はウクライナ国内だけでも10回を超え、NATOの保有するあらゆる武器を扱ってきた。  そしてカギとなるのが、ウクライナ軍幹部の交代だ。ウクライナ東部で実戦経験を積んだ若い将校が幹部になった。8年前にはまだ部隊長だった世代がロシア軍との戦闘の経験を積んだのだ。親ロシア派支配地域の武装勢力の主体は、実際にはロシア軍そのものだったからだ。  こうした経験を積み、NATOの訓練を経て、いまその結果を出している。

>◆ロシア軍の質は?
 ロシア軍は、ウクライナ軍より劣る。
 たしかに空挺部隊のように実戦に慣れたすぐれた部隊もある。降下したロシア軍の2個中隊の空挺部隊はわれわれの猛攻撃の中、8時間持ちこたえた。彼らはこれまでも激戦地に投入されてきたせいで、その職業軍人としての質は高く、ロシア軍の模範だ。傭兵も手強い。
 残りは箸にも棒にもかからないが、無理もないことだ。徴集兵で、訓練を終えてすぐベラルーシの演習に駆り出され、そのままウクライナに投入されたのだから。捕虜の証言にもあるように、彼らにとってもショックで、予想もしなかったことなのだ。概して、ロシア軍の質は低い。