ロシアによる半導体自国生産は成功するか? (マイナビニュース 5/11)

(前略)
かなりの困難が予想されるロシアによる半導体自国生産

海外メディアの記事を読んだ時に真っ先に感じたのは、グローバルサプライチェーンから切り離されたロシアの半導体自国生産にはかなりの困難が
予想されるということだ。
これはロシア政府が目指すロードマップ自体からも充分に察することができる。“28nmを2030年までに”というのは10年以上前にTSMCが掲げた
ロードマップに相当する、かなり保守的な目標である。 今後の展開が困難を極めると思う理由には下記のような事情が考えられる。

高度にグローバル化した半導体のサプライチェーンから切り離されるということは、半導体デバイス自体の輸入をはじめ、製造装置・材料なども自国で
調達する必要が出てくる。 一番分かりやすい例は露光装置だ。

ASML、ニコン、キヤノンが供給する露光装置なしに先端品を開発することは不可能である。
28nm程度のプロセスであれば、中古品の利用も考えられるが、昨今の供給不足で中古品市場も干上がっている状態だ。

ロシアのウクライナ侵攻以来、ロシア人技術者の国外脱出が相次いでいるという報道もある。 人材の流出は国内開発に最も影響する事柄である。
組み込みソフトウェア開発の仕事をしている私の友人からも、ロシアから国内脱出をはかったエンジニアが受け持っていた開発分野が現在滞っている
という話を最近聞いた。

かつてロシアの半導体業界は独自開発のCPUを開発しようとしたが、これは失敗に終わったという報道もある。
リバースエンジニアリングを導入するというのは、CPUなどの複雑な回路の独自設計を諦めた結果であろう。しかし、億単位のトランジスタ数を持つ
今日のCPUを逆解析するのは至難の業であろう

米中の覇権競争の結果、米国同盟諸国からの技術輸入を断たれた中国も、現在28nmレベルでの開発で停滞している。
巨大市場を自国に持つ中国でさえも困難を抱えている難問をロシアはどう解消するのか?(後略)