旧ソ連設計の長距離多連装発射システム「スメルチ」と「ウラガン」は精度が低い上、発射までに
時間がかかり、標的の設定はアナログ計器に頼っている。

 それに比べてハイマースは小型で、操作が簡単なため、敵の偵察から逃れやすい。
発射地点に着いたら2、3分以内にロケット弾の発射を開始することが可能で、発射から20秒で再び移動できる。
 「ボタンを3つ押せば数秒で発射の準備が整う」とコバル中尉は言う。「ハイマースには数えきれないほどの強みがある」
 ロシアのドローンに見つからないようにするため運用するのは夜間だ。コバル中尉はハイマースをそれぞれ
異なる発射地点に送り、連携攻撃でロシアの陣地にロケット弾24発を撃ち込んだ。ドミトロ・コバレンコ兵卒(18)
ら運用担当者は攻撃を指示するため、人工衛星を利用するデジタルシステムに座標を入力し、発射ボタンを押した。
ロケット弾は1発15万5000ドルするため、ウクライナ側は個別の戦車や火砲システムよりむしろ軍司令部や
兵器庫、兵舎など価値の高い標的に火力を集中させている。