(続き)


この戦争から英国やNATOが得られる戦訓は以下の通りである
・現代戦に聖域は存在しない。敵は全てのの縦深を打撃できる。生存性は弾薬集積所、指揮系統、保守施設や航空機の分散にかかっている。
・戦闘には膨大な備蓄が必要である。ウクライナの火力は初期には火砲数にして1:2の差でしかなく、均衡を保っていたが、7月には弾薬枯渇により火力にして1:10の劣勢に立たされた。
明らかに米国以外のNATO加盟国には先頭に十分な備蓄と生産力が足りない。
・UAS(無人航空システム、ドローン)とその対策は全軍種、全階層で不可欠である。
陸軍は状況認識とターゲティングにドローンが必要であり、海軍は単独行動する艦船にドローン対策が必要であり、空軍にとってはドローンを索敵できるルックダウン能力が必要である
・軍は精密誘導兵器の能力を脅かされぬように努めなければならない。精密誘導兵器は電子戦に脆弱であり、その保護は統合作戦に不可欠である。電磁波領域での優位を得ることが重要である。
・現代の戦場ではISTARとセンサーの発達により陸上部隊の隠ぺいは非常に困難である。生存性のためには、分散すること、敵のキルチェーンを上回る十分な速度で移動すること、強固な防御構造物に入ることである。
部隊は望ましい状況以外では集結せず、分散下での相互支援能力と、移動力に重きを置くべきである。