食い物ネタが出たところで

缶詰はナポレオンが保存食を欲して作られたものであるが、最初はフタをはんだ付けしていたので、長い間缶詰で暮らす軍人は鉛中毒で衰弱していくのが常だった

また品質管理が疎かで悪徳業者も多く、戦地で開けてみたら中身が土や石という惨事もしばしばあったという

鉛入りでも腹は膨れるが、敵地で食べ物と思ったら石だったというショックたるや想像もつかない


だとしても缶詰は重要な物資で、戦後の日本では上は天皇陛下から下は浮浪者まで進駐軍の缶詰で飢えをしのいだのであるが、缶詰は食べれば空き缶が出る

進駐軍キャンプから山積みの空き缶が仕入れられるものの、空き缶は嵩張る割に目方がなく、しかもブリキなので屑金としての価値は意外に低い

そこで知恵者が考えて、切り取って一枚板に延ばして加工し直すブリキ工業が興り、戦後日本の根幹たる加工貿易の第一歩となったのだった

なので今や同量の純金より高価なブリキのおもちゃは多くが日本製である。父親が日本で食べたゴミが息子のおもちゃになったのだ

だが敗戦国の悲しさで「made in japan」は許されず、多くは「made in occupied japan」と刻印されている