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「大神海軍工廠」
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大分県の「大神海軍工廠」は、昭和16〜17年度に建設予算が承認され、
24億円(参考までに、D計画の全費用が44億円)という巨費を投じて建設が予定された、
呉・横須賀にも匹敵する一大造船施設となることを約束されていた工廠。

主要設備は船台2(空母用1、潜水艦2隻同時建造用1)、
ドック3(戦艦用1、重巡用1、潜水艦2隻同時建造用1)。
造船能力は、戦艦3年に1隻、空母3年に1隻(又は重巡2年に1隻)など。
加えて戦艦・空母1隻ずつの特定修理能力。
これらの造船・修理用装備品の生産の他、
さらに造機部で主機械タービン1700t、主機械ディーゼル10台、
缶24缶、補機200台。
造兵部で砲煩−中小口径砲架20基、魚雷発射管並びに空気圧搾喞筒各10基、
電気−150万円分、
航海−艦底嘴、艦底管、短艇羅針儀、光学−中小型測距儀、望遠鏡、架台及び托架あわせて80万円分
という生産能力をもつ予定でした。

ちなみに海軍の未成海軍工廠として、仮称S廠が山口県室積に建設予定で、
17〜18年度に建設予算成立。
生産能力は大型潜水艦年に2隻半、大型潜水艦用主機年産10基(半分はS廠用、もう半分は他の工廠への配給用)、
さらに艦隊補充交代期には一般修理の一部を実施可能、というものでした。
要するに典型的潜水艦造船施設です。

大神も潜水艦を同時4隻建造可能ですし、海軍は豊後一帯に潜水艦の一大生産施設を有する計画であったことがうかがえます。

以上の出典は、戦史叢書「海軍軍戦備2」です。・・・勝井氏作成文書