>>317

 欧州諸国は今年、ガス供給の多角化、再生可能エネルギーの導入の加速、
エネルギー効率の改善によって、ロシア産エネルギーに対する依存度を
3分の2削減しようと躍起になっている。これはとてつもなく壮大な事業で、
過去何十年でエネルギーインフラが劣化したことで実現がより困難になっている。
欧州諸国の取り組みはまさに思い切ったものだ。

 日本には同じような課題が待ち構えている。
日本がエネルギー安全保障を実現し、気候変動に関する目標を達成するためには、
高度に発展した原子力産業を動かす必要がある。
日本はこのための深い技術的ノウハウを持っているにもかかわらず、
原発は運転停止状態にあり、そうしたノウハウが薄まっている。
一部の原発を再稼働させるとの岸田文雄首相の表明は勇気あるものだった。
2011年3月に津波を原因とする放射能漏れの危機があっただけに、
原子力を受け入れることが国内政治的に難しいことを彼は誰よりもよく分かっている。
政治とは、こうした難しい選択をすることだ。日本の原発再稼働が早ければ早いほど、
エネルギー安全保障の実現と気候変動の安定化に近づく。

 既存の原発は再稼働が可能である一方で、日米は原子力の未来にも目を向けている。
それは、小型モジュール炉の推進だ。われわれ2カ国はこの最先端技術をリードしており、
ルーマニアやガーナなどでの利用を既に協力してサポートしている。