収束せぬウクライナ「停戦」実現するただ1つの方法
「ロシアを打ち負かせ」の視点では情勢を見誤る
https://toyokeizai.net/articles/-/629963?page=2
今年2月24日、プーチンのロシアがウクライナに攻め込み、今日に至っていることは事実です。
ロシア軍の行動は一刻も早く抑制されるべき。私も含め、多くの人はそこに異論はないでしょう。

まずは停戦に持ち込むのが必須。これ以上、罪のない子どもたちや女性、高齢者、意に反して駆り出された戦闘員らの犠牲を増やしてはなりません。
被害の拡大は憎悪の連鎖につながります。プラスは何もありません。

しかし、ウクライナ戦争の本質は、どこにあるか。停戦に向けてはそこを見極めなければならないでしょう。
ゼレンスキーが完全な善で、プーチンが完全な悪とする見方は、一方的なものであり、
プーチンの立場に立てば、この戦争にはプーチンなりの“道理”“正義”があると思います。

――具体的にはどういうことでしょう?
ウクライナ戦争は冷戦崩壊時から押さえていく必要があると思います。

1990年の東西ドイツ統一の際、アメリカのベーカー国務長官は「1インチたりとも」NATOを東方拡大させないと述べ、
ゴルバチョフ大統領も東側の軍事同盟・ワルシャワ条約機構を解体しました。

しかし、NATOの東方拡大は止まらず、2008年には旧ソ連構成国であり、
ロシアと国境を接するウクライナとグルジア(現・ジョージア)をNATOに原則加盟させることが決まってしまいます。

中略

――日本政府や日本の国民ができること、すべきことはあるでしょうか。

命を重視する戦略にウクライナとロシアの双方が転換し、
関係者がこの戦争の出口戦略に向かって共通の知恵を絞るように、関係者すべてに働きかけることです。
とくに、バイデン大統領とゼレンスキー大統領に、です。
やる気になれば、日本外交はそういう対応を取ることができるはずです。
対ロ制裁に追随することだけが対応策ではありません。