【長野】子どもの声がうるさいから公園が廃止
揺れる長野市の現地で徹底取材

「子どもの声がうるさいからって公園を廃止してしまって良いのでしょうか?」。
本紙「声のチカラ」(コエチカ)取材班に長野市民から疑問の声が寄せられた。
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管理する市公園緑地課を訪ねた。平沢智課長は
「多数の子どもが訪れ、かなりの音が出ていたことが、廃止の一因であることは事実」と説明。
隣には児童センターや保育園があり、子どもたちの格好の遊び場。それだけに平沢課長も「断腸の思い」とした。

同課によると、青木島遊園地は2004年4月に地元から要望を受けて開設された。
放課後には児童センターで過ごす大勢の子どもたちが遊びに来た。
夕方の遅い時間帯には保護者たちのお迎えの車が相次いで出入りした。
だが、まもなく一部の近隣住民から「うるさい」「子どもたちが走り回ってほこりが舞い、車が汚れる」などと苦情が出るようになったという。
そこで市は数年かけて対策を講じた。
苦情を寄せた住民の家に子どもがなるべく近づかないよう、園内に最大8メートル幅の帯状にツツジを植えた。
出入り口の位置も変更。
児童センターでは、子どもを迎えにきた保護者にエンジンを止めるよう呼びかけた。
だが、苦情は収まらなかった。
遊園地廃止は昨年3月、苦情を寄せる住民が児童センターを直接訪れ、遊園地で子どもが静かに遊ぶ方法を考えるよう求めたことが直接の決め手になったという。
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児童センターは「子どもが静かに遊ぶ方法などない。だが、これ以上、迷惑はかけられない」(小林俊行館長)とし、子どもたちに遊園地を使わせない方針を決めた。
児童センターは定員100人に対し利用登録は144人。
夏休みや冬休みは終日、施設内で過ごさなければならなくなる子どもも少なくなく、職員は「何とか外で遊ばせてあげたいのだが」と言う。
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子どもの声がうるさいと苦情を寄せた住民の家を訪ね、取材を申し込むと「これまで市役所に伝えてきた通りだ」と硬い表情で答えた。

市公園緑地課の平沢課長は「開設から18年もの間、一部住民に負担を強いてきたことを重く受け止めた」。
地元区長会の宮沢弘明会長も「廃止はやむを得ないと考える」と話す。