>>922

EUが世界のエネルギー消費の11%を占めていることを考えるなら、
EUがロシア産ガスに代わるエネルギー供給源を確保しようとすれば、
世界経済が混乱することは十分に予想できた。

ただでさえ石油やLNGの供給は逼迫していた。
ロシアからの供給が途絶えた分を補うだけの余力はない。
だからEUがロシアの天然ガスを切った途端に、世界中でエネルギーが足りなくなった。
アジアや中南米など、従来から輸入に頼っていた国は悲鳴を上げている。

経済と貿易を回すのに外交や安全保障上の配慮は無用と、従来のEUはあまりにも素朴に信じていた。
しかしウクライナの戦争で、その誤りを突き付けられた。

本来なら、ロシアからのガス供給が止まったらどうなるかを熟慮し、議論した上で
制裁を発動すべきだった。ヨーロッパ全体の社会・経済的安全保障に関わる
重大な問題なのに、EUは慌てて制裁を決めるという戦略的な大失態を演じてしまった。

ロシアがウクライナでしていることは絶対に容認できず、強力な対応が必要だ。
しかし、そのためにヨーロッパが自らの競争力を削り、国際的な地位を損なうことがあっていいのか。
ある意味、これはEUが自ら招いた未曾有のエネルギー危機だ。
ここから抜け出すには何年もかかる。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/12/post-100462_2.php