最前線の隠れた戦力、おなかポッコリ中年兵たちの「ウクライナ領土防衛隊」

「彼らは祖国を守るためにやって来たんだ」

 戦争で男は2つのタイプに分かれるとユーリーは言う。何も食べられなくなるタイプ。そしてユーリーのように何でもガツガツ食べるようになるタイプだ。

 「領土防衛隊には40歳以上や50歳以上、体調の悪い人、健康状態が非常に悪い人、病気持ちの人をたくさん見かける。しかし彼らは祖国を守るためにやって来たんだ」

 「私たちは北東部ハルキウと南部ヘルソンで領土を取り戻し、多くの歩兵を必要としている。言うなれば大量の歩兵の在庫が必要だ。十分な訓練を受けた歩兵は相変わらず不足している。だから経験不足の領土防衛隊の兵士が危険な最前線の塹壕に送られる可能性がある。そのギャップを埋めるのが大きな課題だ」

 ウクライナ大統領直属の国立戦略研究所に勤務するミコラ・ビエリェスコフ氏はシンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)」のウェブサイトにウクライナの領土防衛隊について投稿している。それによると、領土防衛隊は軍の別働隊として2021年7月に制定された「国家抵抗の基本に関する法律」に基づいて機能しているという。

 同法は領土防衛隊が特定の後方地域保護機能と「特定の場所で領土と住民を守るための措置をとりながら適時対応する」ことの両方に従事することになっている。ロシア侵攻前の試算では、全面戦争になった場合、領土防衛隊は13万人もの大規模な抵抗を行えると想定されていた。
■ 家族愛と郷土愛、祖国愛が最前線を支える

https://news.yahoo.co.jp/articles/690ef5a2233492ba26ba0137b5af9ca5c93f3af1?page=3