小説を書く練習したいなら、日記を小説風に書いてみるがよろし
ネタになるエピソードが起きた日を、脚色して面白おかしく書くのだ

 春もうららかなある日のこと、今日は良い天気で、気温もちょうどいい日だ。こんな日はバイクの整備をしようと思い立ち、いそいそとツナギを着てから工具やケミカルを用意し、駐車してある愛車の元へと向かう。
 するとどうだ、バイクの座席にねこが寝ているではないか。黒いシートがあったまって、ぽかぽかとお日様も当たっているので気持ちが良いのだろう。思わず、その子をそっと撫でてみるが、逃げない。
 おとなねことは言えず、さりとて子猫とも言えないくらいに育っているその子は、キジトラの毛並みで長い尻尾をだらんと垂らし、すっかりくつろいでおられる。しばしそのねこをやさしく撫でながら、しばしの間触れ合いを楽しむ。
 そこでふと思い出す、そうだ俺はバイクの整備をしたいのだ。しかし、この子がいる間はメンテナンススタンドも立てられず、どうしようもない。チェーン清掃も匂いや音が出るため、厳しいだろう。

「まいったね」
「なーご」

 思わずそう呟いてしまったが、返事をしたねこさんは俺の都合など考慮するわけもなく、気持ちよさそうに頭を撫でられるがままだ。
 そうして、必要だからとそろえたが一回しか使っていない工具達が虚しく太陽の光を反射するなか、突如宇宙船に拉致されてしまう。
 その宇宙船には女しかおらず――

「私たちは滅亡の危機に瀕しています、どうか子作りに協力してください」

 かわいらしい顔をした女宇宙人が、そういった。
 これから俺はどうなってしまうんだろう。