>>50
「こっちの高度は6000メートル、敵機ははるかに低い高度200メートルです。圧倒的に優位からの会敵で、われわれは高度を下げながら攻撃態勢に入りました。

ところが、まさに攻撃に入ろうとしたわずかな隙に、敵機は急に全力上昇をはじめ、鴛淵隊長は高度の優位を保とうと、続いて上昇に入った。

しかしこの敵機は、それまでに戦ったグラマンなどとはちがって、ものすごい上昇力でぐんぐん高度をとってゆく。その性能は、衝撃的でありました。紫電改の戦闘高度のいいところは、せいぜい6000メートルまでです。懸命に追いかけて、8000メートルという高高度まで吊り上げられたときには、態勢は完全に逆転していました」