戦争当事者達の手記や回想は「生の声」として貴重な証言ではあるんだけど
錯誤や思い込み、敗戦後の自己弁護や誇張とも取れる言動も多いから、戦史研究の記録としては
それだけでは一級史料とは言い難い、特に負けた側の日本軍ではね

何機撃墜だの、何隻撃沈だの、敵を圧倒しただの、日米の公式記録と照らし合わせると全くの虚像だったり
ただの戦果誤認だったりするから、きちんと公式記録と照合しないと実情が分らない、鵜呑みは危険で
現代視点で読むと、むしろ事実誤認も甚だしくて、しらける様な証言の方が多い

先月号丸の大和特集の発掘手記でサマール島沖海戦や三式弾の発掘手記はその典型で、
サマール島沖海戦では賞賛されるのは米護衛駆逐艦側であって、栗田艦隊の稚拙な攻撃ぶりは勝ち戦どころか
負け戦だったのが明白なので、今さらあれか大和が敵機動部隊を圧倒した勝利の海戦の様な当事者手記を読まされても
しらけてしまう。
同じ事は三式弾でも言えて、米軍側からは対空砲弾としては全く評価されてない現代評価を知る身としては
あれが画期的な対空砲弾だと自画自賛されても、何を言ってるんだって感想しか湧かない

あれを戦史に疎い若い人が読んで「へえ、当時の日本軍って凄かったんだ」と思うなら、とんだミスリードをしているだけに
しかならないのだ。