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 米紙ワシントン・ポストは4日、ロシアに占領された領土の奪還を目指すウクライナの反転攻勢の開始時期や進め方を巡り、
ウクライナと米国の間で意見の違いがあったと報じた。
米国は作戦開始前から、東・南部の計3方面に兵力を分けるウクライナの案は「恐らく目標に遠く届かない」と分析していた。

 米国と英国、ウクライナは今年初め、8回にわたる机上演習を行い、反転攻勢の戦略を検討した。
米国は、露軍の補給拠点がある南部メリトポリ攻略に向け、戦力を集中させるべきだと主張し、露軍が防衛を整える前の4月中旬に始めるべきだと考えていた。

 演習の最も理想的なシナリオでは、ウクライナ軍が60~90日でアゾフ海に到達し、ロシアが一方的に併合した南部クリミアと露本土を分断できた。
ただ、人員と兵器の損失は30~40%に達するとの試算があった。消耗戦になれば、最終的なウクライナ軍の犠牲はより大きくなると米当局は指摘していた。

一方、ウクライナは東部防衛に兵力を充てなければ、ロシアが占領地を拡大すると警戒した。
4月時点では軍の練度や兵器が不足していると訴えていた。航空優勢がない状態で進軍し、多くの死者を出す作戦に抵抗があったようだ。
実際にウクライナが反転攻勢を始めたのは6月4日となった。

 砲弾不足が影響した可能性がある。ウクライナ軍は月9万発の155ミリ砲弾が必要とされるが、米国の生産量はその1割程度にとどまる。
米国は1月以後、韓国から30万発以上を受け取り、ウクライナ支援に回した。
韓国がこれまでに拠出した砲弾は、欧州各国の合計を上回るという。

 露軍の能力を見誤った側面もあった。露軍は堅固な防衛陣地を築き、反転攻勢を待ち構えていた。
ウクライナ軍は反転攻勢開始から数日で、米製歩兵戦闘車ブラッドレー20台や独製戦車6両を失ったという。