戦費で追い込まれたウクライナ、支援約束守られない場合の選択肢検討


米共和党員に支援呼び掛けたゼレンスキー大統領、同意得られず
ウクライナは外部資金に大きく依存、その7割近くをまだ確保できず

ウクライナ政府当局者らは、西側諸国などが約束した支援が実現しない場合に戦費をどう賄うか頭を悩ませている。選択肢はいずれもリスクをはらむ。

  財政的な措置として考えられるのは増税などだが、荒廃した経済に厳しい要求を突きつけるのは明らかだ。支出を削減するにも市民は既に困窮している。金融政策の選択肢では通貨フリブナの切り下げや中銀資金の活用再開が挙がるが、マルチェンコ財務相はブルームバーグに対し、これらの措置は「悪影響」を伴うだろうと述べた。

 ゼレンスキー大統領はワシントン入りし、バイデン米大統領が提案した600億ドル(約8兆7400億円)余りの支援を足止めさせている共和党議員に緊急の呼び掛けを行った。しかし議員らは民主党が移民・国境政策で「大転換」を受け入れるまでウクライナ追加支援はないとの姿勢を崩さなかった。

  欧州連合(EU)も500億ユーロ(約7兆8600億円)規模の支援パッケージを用意しているが、EU予算全体を問題視するハンガリーのオルバン首相の妨害に遭っている。

  反転攻勢が望んだ成果を得られず、ロシア侵攻から2度目の冬を迎える中で、ウクライナは資金という新たな困難に直面している。