【ジャック・ド・ギベール】

「我々は、十分に召集されてもいず、適切に支払われてもいない軍隊をもって戦端を開く。
勝つにせよ、負けるにせよ双方の側は等しく疲弊する。
国債は増し、信用は低下し、金は消失する。
海軍も陸軍ももはや兵を見つけられなくなる。双方の側の大臣達は交渉の潮時だと感じる。

講話が結ばれる。
二、三の植民地や州の所有権が変わる。
しばしば紛争の原因は未解決のまま残り、どちらの側も廃虚の中に座し、
借金を返すこと、武器を研ぐことに忙殺される。

しかし、次のような国民が欧州に生まれることを仮定してみよ。
その精神においても資源においても政府においても活力のある国民。
厳格な徳と国民的市民軍が一緒になって決定された膨張政策に向かう国民。
その目的を見失わず、いかに安く戦争をするか、いかに勝利によって生活するかを知り、
財政的制約から武器を棄てることを余儀なくされない国民。

そのような国民が、まるで北風が柔らかいアシを揺り動かすように、隣国を屈服させ、
その脆弱な体制を打倒するのを、われわれは見ることになるであろう。」

ギベールは、このような出来事が実際に起こるとは期待していなかった。

「欧州には強力であると同時に新しい国家はもはや存在しないから、このような国民は生まれないだろう。
欧州諸国は同じように成長し互いに堕落させあっている。」
と、悲しげに続けている。

ギベールは、1791年に死んだ。
彼の瞠目すべき預言が、現実になり始めるのを見るには、彼の死は一年ほど早すぎた。

大陸軍は世界最強!