>>937
>何故にアルフレッド・セイヤー・マハン氏が疫病神扱いなのでしょうか?
>例えば主権国家がマハンの海軍戦略を忠実に実行しようと海軍力を増強すると、
>他国の反感を買ったり国際的な緊張関係を生むなどして大きな戦争や軍拡競争が起きるなどの国際問題が生じてしまう

「グローバルな海洋」に対する視点が弱い。

マハンから始まる「マリタイムサイクル(→海軍増強→海洋での優勢→海洋貿易の活性化→海洋リソースの確保→・・)」には「一国の戦略」としては理がありますが、
他国のパラドキシカルロジックやグローバルな海洋全体の広大さを考えるとコスト的にも利なし。

実際に、18世紀の大英帝国は、マハン大好きトラファルガーの海戦でナポレオンに勝利し、圧倒的な海軍力で18世紀の世界の海をコントロールし、
「栄誉ある孤立」により欧州大陸の陸上への干渉を最小限にしつつ自由貿易により繁栄を謳歌そましたが、
その間にドイツ・イタリアが統一してしまい、しかも欧州内でイギリス抜きの同盟があちこち成立。
19世紀になるとGDPでドイツに抜かれ、あまつさえお得意の海軍力の建艦競争でさえ、ドイツに抜かれるのは時間の問題となった。
ほぼマハンに忠実だったはずなのに?

そして、結局はマハンを放棄(→コーベット)して、欧州大陸内の同盟国確保を模索し、さらに遠征軍を派遣してドイツと地上戦を戦い、逆説的にドイツが建艦競争に専念できない戦略環境を作り海軍力の優勢を守った。