無差別攻撃、略奪、拷問、強姦ごうかんという現代国家の軍隊かと思えるような蛮行が明るみに出るロシア兵とは何なのだろうか。よほど質の悪い兵士が前線に来ているとしか思えない。

たしかにロシア正規軍の、とくにモスクワから来た部隊にはほとんど死傷者は出ていない。辺境の少数民族や所得の低い地方出身者の志願兵を募り、編成した部隊が前線に送られていると聞く。生活が苦しく、やむにやまれず志願したような兵士たちだ。ロシア陸軍は600?800名からなる「大隊戦術群」という単位で動いているが、略奪に関しては指揮官の考え方も大きいだろう。報告される事例の数を聞く限り、目標を制圧してしまえば、あとは大目に見ているケースが多いように思われる。

もっともロシア軍の戦場での残虐行為や略奪は今に始まったことではなく、第二次世界大戦末期の満州侵攻を見てもよくわかる。旧ソ連の時代から、民間人居住地に攻め込んだ場合は原則「やりたい放題」の文化なのだ。