ところで、ロシア軍は他の前線に影響を出さないよう、2022年ハリコフと同条件での抵抗、つまり相手よりも少ない人員で、機械化部隊の前線を飽和させようとする行動に抵抗する計画が採用された。つまり、両軍の計画では、以前の失敗した計画の改良、NATOは「ザポロジエ2.0」、ロシア軍は「ハリコフ2.0」を基準として設定しているように見える。
NATOによる計画書が去年の焼き回しである限り、ウクライナ軍がこの方面に投入する戦力合計は、2023年の反転攻勢の合計とほぼ同じで、おそらくそれが限界だろう。6月から8月になることで隙間を打ち、初動は去年よりも成功を収めたが、10月以降の継続は難しいものになり、より大きな損害に繋がる可能性が高い。
去年の失敗はNATOの兵器の目標達成の能力の過剰評価にあったが、今年それは修正されず、無人機とバギーとピックアップトラックがそれを補うことを期待した。これらの計画を比較すると、ロシア軍の「ハリコフ2.0」の想定内に留まる限り、ウクライナ軍は失敗するが、膠着は、まだ現状ロシア軍の想定内にあることを示している。

他の前線。ロシア軍はチャソフ・ヤルとポクロフスキーに向けて制御された前進が続く。ウクライナ軍の後退はクルスクの攻勢に人員を回したことが原因というのは言い過ぎだろう。大規模攻勢は前線を維持する兵站が継続的に持たないことから、事前の蓄積がなければならず、他に移転できない部隊である。クルスクの攻勢の主力である機械化部隊が防衛に回ったとしても前線を維持できる力はなく、攻勢でのみ最大の戦力を確保できる。もし攻勢が成功したならロシア軍はクルスクへの移転を余儀なくされ防衛への圧力を減じただろうし、今のように失敗したとしても、前線の後退は同じ結果でしかなかった。