習近平に極めて近い企業経営者に、「万向グループ」を率いる鲁冠球
という人がいる。2012年の2月に北京で「米中起業家シンポジウム」が開催
された折りに、バイデンは習近平から鲁冠球を紹介された。

なお、2011年の年初からの1年半で、習近平とバイデンは8回会い、通訳だけ
の同席で25時間一緒に過ごし、プライベートな食事もともにする仲だった。

この鲁冠球率いる「万向グループ」は、米空軍用のバッテリー開発にも携わって
いたリチウムイオン電池の開発企業の「A123システムズ」の買収に成功している。
習近平と極めて近い立場にある中国企業が、米空軍用のバッテリー開発にも
関わっているリチウムイオン電池の開発企業を買収することには、安全保障上の
問題はないとされたのだ。それなのに、同盟国であるはずの日本の企業である
日本製鉄がUSスティールを買収することには、安全保障上の問題があることに
なるのか。

ちなみに「A123システムズ」のバッテリーを利用してプラグインハイブリッド車の
生産に乗り出していた企業に「フィスカー」という会社がある。

「フィスカー」が工場用地としたのは、バイデン家の「裏庭」とも呼ばれるデラウェア
州ウィルミントンだが、「フィスカー」は経営がうまく行かず、破産に追い込まれた。

この時に破綻した「フィスカー」に1億5000万ドルという破格の金額を提示して
買収を行ったのも「万向グループ」だった。

バイデンと習近平がいかに親密な関係にあるかは、こうした件からもわかるだろう。
それはともかくとして、アメリカ政府にとっては、日本はロシアや中国よりも脅威だ
ということなんだろうか。これは日本や日本人に対する差別ではないのか。