ボディビルダーは、陸上競技や格闘技のアスリート以上に、体に対する不満による葛藤が強い。これは漠然とした「完璧な」肉体を追い求めるだけではない。そこには、根深い心理学的な綱引きがある。
社会的な美の基準や自分の価値をめぐる内面的な葛藤を反映して、ボディビルダーは、体の大きさと細さに対する強い意欲を口にする。スポーツに対する純粋な愛や、個人的な目標のためにトレーニングしているであろう陸上競技選手や格闘家と異なり、ボディビルダーのモチベーションは、さまざまな自己イメージと複雑に絡み合っていることが多い。
そこに筋肉増強剤が加わると、懸念の度合いはいっそう高まる。多くのボディビルダーは、主として自分のルックスを良くすること、最終的には自己肯定感を高めることを期待して、そのような薬に関心を寄せる。
筋肉増強剤で強化されたボディビルダーは、ナチュラルなボディビルダーと比べて自己愛性、境界性および反社会性パーソナリティ障害といったクラスターB群パーソナリティ障害の特徴を強く示すことを明らかにした。

筋肉増強剤の使用者に元々そのような特性の傾向があったのか、使用によって特性が発現したのかを確かめることはできないが、筋肉増強剤を使用するボディビルコミュニティには、若者たちが適切な医師のアドバイスを受けることを妨げる一般的傾向が見られる。

2020年にAmerican Journal of Men’s Health誌に掲載された研究は、調査対象2385人の過半数にあたる56.1%が、自分の筋肉増強剤使用を医師に告知せず秘密にしていたことを明らかにした。医師に使用を打ち明けた人も、その半数以上が医師に対して、差別されていると感じたと報告した。

ステロイド使ってるハリウッドスター大丈夫かな