>>947
典型的な論点のすり替え。
「ハマスも義務を果たしていない」という主張は一見もっともらしく聞こえるが、国際人道法の基本原則に真っ向から反している。
「相手がルールを破ったから、こちらも破ってよい」というtu quoque論法は、国際裁判で一貫して否定されている。

たとえばニュルンベルク裁判では、ナチス戦犯の弁護側が「連合国も無差別爆撃を行った」と主張したが、裁判所はこれを一切考慮せず、
「他者の違法行為は自己の違法性を免責しない」と明言し、国際刑事責任は個別に問われるという原則を確立した。

また、旧ユーゴ国際刑事裁判所のトゥルンブリッチ事件では、被告側が「敵勢力も同様の残虐行為を行っていた」と主張したが、
裁判所はこれを退け、交戦相手の違法行為は自分の犯罪行為の正当化にはならないと明確に判示。

ルワンダ国際刑事裁判所においても、フツ側の被告が「ツチも同様の攻撃をしていた」と主張したが、
裁判所は報復や対抗措置による違法行為も正当化されないと明確に否定。

要するに「敵も国際法を破った」という事実があったとしても、それは自国や自軍の違法行為を正当化する理由にはならない。
これは国際刑事法・人道法における確立された原則。

したがって「ハマスが悪いからイスラエルの攻撃は正当」という主張は、歴史的にも法的にも通用しない。
問われるのは、イスラエルの行為が「必要かつ比例的」だったか、「民間人保護の義務を尽くしていたか」どうかであり
相手の違法行為を理由に義務を免れることはできない。

相手の違法性を持ち出して、自らの違法行為を覆い隠そうとするのは、典型的な論点のすり替えに過ぎない。