大和型の上下舷側装甲は傾斜角度が違う
機関部で上が20度、下が14度
下部も20度傾斜にすると機関部に装甲が食い込んで容積が足りなくなるので角度を緩めている

その結果、上下装甲の繋ぎ目がくの字になり装甲同士を直接結合できない
このため上下装甲をまずそれぞれの受け材に結合し、受け材を船体に結合することで装甲取り付けとした

受け材は上下一体で製作する方が強度的に望ましいのは当然だが、断面が十字の受け材は作れなかったため、断面がト型の受け材を上下別々に作りリベットで結合した
さらに上下装甲接合面の角度よりも受け材接合面を上側に10度傾けることで上部装甲の押し込まれに抵抗しようとした
設計段階で、一応ここまで考えられてはいた

大和の建造初期、舷側装甲の実物大模型への砲弾命中試験を実施したところ、上部装甲が押し込まれ浸水が想定されたが、装甲取付構造を改善せずに、裏側に6ミリ厚の防水板を部分的に取り付けで済ませた
家を建てているとき、設計仕様に反して大雨で雨漏りが想定されたが、屋根裏に防水板をつけましたという話

実戦で深度2メートルという浅い部分に魚雷が命中したとき、そこは上部装甲だったが、装甲が押し込まれしかも裏に防水板をつけなかった後部主砲弾薬庫だったから3,000トンも浸水した

水線上の上部舷側装甲に砲弾が命中しても同じことが起きるので、これは魚雷防御の話ではないことが前提となる
さらに、受け材接合面を上に10度傾けているので、下部舷側装甲に水中弾が命中する場合、下部舷側装甲上縁の押し込まれ抵抗はリベットのみでより押し込まれやすい
下部舷側装甲は魚雷ではなく遅動信管装備の徹甲弾対策なので、砲戦における仕様未充足が放置された結果となっている

上部舷側装甲への潜水艦魚雷命中で押し込まれてるくらいなので、押し込まれへの抵抗がなく深度的に魚雷の当たりやすい下部舷側装甲へ多数の魚雷命中が起きた沈没時には、さらに浸水しやすくなっていた