ロシア占領下のドンバスから避難した人々の証言は各国メディアや人権団体で報告されている。特徴的なのは5つのテーマだ。

まず強制動員。18~55歳の男性が通りで拘束され、ろくな訓練もなく前線へ送られる。避難した若者は「街を歩くだけで兵士に捕まるのが怖かった」と語っている。

次にロシアパスポートの強制。取得しないと年金や社会保障を打ち切られ、就職も制限される。HRWの調査でも「事実上、生活のためにロシア籍を受け入れざるを得なかった」と住民は証言している。

三つ目は日常生活の抑圧。避難民の一人は「子供が学校でウクライナ語を話しただけで叱責された」と述べ、教育はロシアの教科書に全面的に置き換えられている。別の証言では「誰が密告するかわからず、隣人にも本音を言えなかった」と語られている。

さらに略奪。国連人権高等弁務官事務所の報告には、工場や家屋の接収、企業の“国有化”と称した収奪が記録されている。避難した経営者は「工場を奪われ従業員までロシア企業に移籍させられた」と訴えた。

要するに、避難民の声は「強制動員」「パスポート強要」「文化的抑圧」「監視社会」「財産収奪」という5つの恐怖に集中している。これが占領下の現実であり、沈黙せざるを得ない理由を裏付けている。