ウクライナでは、安価な迎撃ドローンが戦争の常識を塗り替えつつある。
https://www.businessinsider.com/ukraine-interceptor-drones-air-defense-2025-10
2024年初頭、ウクライナ軍内で「ドローンをドローンで撃ち落とす」発想が浮上。当初は非現実的と笑われたが、ロシアのシャヘド(Shahed)などの攻撃ドローンが都市を襲う中、弾薬やミサイルが不足したウクライナにとって、安価な対抗策が切実に求められた。
こうして誕生したのが、数千ドルで製造できる迎撃用クアッドコプターだ。2025年現在では、1日に1000機の量産を目指すまでに拡大しており、1回の攻撃で150機の敵ドローンを撃墜する例も出ている。
代表的な迎撃機「Sting」(製造:Wild Hornets社)は約2,500ドル。時速340kmで飛行し、赤外線やカメラ誘導で敵ドローンに体当たりして撃破する。成功率は約70%で、これまでに400機以上のシャヘドやその模造機を撃墜したとされる。
訓練は難易度が高く、数千人の受講者のうち合格するのは数十名程度。ウクライナ政府系イノベーション機関Brave1やCome Back Alive財団が複数メーカーを支援し、量産体制を整備中。
コスト面では、1発100万ドルの地対空ミサイルに比べ圧倒的に安価で、NATO諸国も注目している。英国はウクライナと共同で安価な迎撃ドローンの開発に着手し、デンマーク空域での実証試験も行われた。
ただし、ロシアも新型のジェット推進ドローン(Geran-3、時速約500km)を投入し始めており、迎撃側もさらなる高速・自律型モデルの開発を進めている。

NATOもこの状況に注目している。NATOの近代化を監督する変革連合軍最高司令官ピエール・ヴァンディエ提督は、「ヒット・トゥ・キル」迎撃ドローンは 、欧州同盟国が ロシアのドローンから防衛するための最も「有望な」解決策の一つだと述べた。

NATO加盟国は、迎撃ドローンを現実的な防空手段として検討し始めている。例えば英国は先月、 ウクライナと共同で数千機の低コストの迎撃ドローンを支援・共同開発すると発表した。

ワイルドホーネッツ社は、戦闘機やパトリオットミサイルよりも安価なドローン撃墜手段を模索する中、同社の「スティング」ドローンが最近、デンマーク領空での試験において敵ドローンの排除に活用されたと発表した。