2025年10月28日時点の戦闘損失推定によると、人員+1060、車両・燃料タンク+131、無人機+108の増加が最も顕著で、これは前線での激しい地上戦と後方兵站への攻撃が同時に進行していることを示している。
まず人員損失の増加は、ポクロフスク方面などで歩兵主体の戦闘が激化していることを意味する。ロシア軍は小部隊による浸透作戦や市街地での突撃を継続しており、攻勢維持のため高い犠牲を伴っている。歩兵による浸透戦は地形の掌握に有効だが、損耗率が大きい。
次に、車両および燃料タンクの損失が多いのは、ウクライナ軍がドローンや長距離砲撃によって補給線を重点的に狙っているためとみられる。補給部隊は防御が薄く、前線への弾薬・燃料輸送が断たれると戦線の持続力が急速に低下する。兵站への打撃は戦果の即時的拡大よりも敵の疲弊を狙う典型的な長期戦戦術といえる。
無人機の損失増は、両軍がドローンを戦術の中核として運用していることを裏付ける。偵察用からFPV自爆型まで大量に投入され、電子戦による妨害や迎撃で高い損耗を出している。日々100機前後が失われる現状は、ドローン戦争の象徴的な数値といえる。
戦車+6、兵員輸送車+28の差からも、歩兵輸送や近接戦闘が中心で、大規模な機甲突破戦ではないことがうかがえる。砲兵システム+8、多連装ミサイル+2も継続的な対砲兵戦の存在を示す。
航空機・ヘリ・対空システムに損失がないのは、双方の防空が依然として強力であり、有人航空機が前線に深く入ることを避けているため。
総じて、現在の戦況は「前線の歩兵消耗戦」と「後方補給網へのドローン攻撃」の二重構造で進行している。突破や急展開は見られず、両軍が持久力を削り合う段階に入りつつある。